森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
(お似合い、だけど……いくら僕が駄目だからといって、僕以外の、それも人妻を獣人に差し出すなんて……ないない。だって、ねえさんは兄さんにべた惚れなんだから。そもそも、ロキースは僕に恋をして、獣人になったんだから、僕が責任を負って然るべきなんだ)

 エディは、思い直すように頭を軽く振る。馬鹿な考えだと振り落とすように。

 それから「これは仕方のないことなんだ」と呟いた。

 ロキースがエディに恋をしたのは彼の勝手だ。

 エディにはエディの決めた道があり、その中にロキースなんて存在は無かった。

(そう、言い切れたら良かったんだけど……)

 残念ながら、エディは言い切れるほど冷たくなかった。

 だって、好きだと言ってくれたら誰だって嬉しくなるだろう。
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