森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 毎日、お洒落なサロンで優雅にお茶をしながら、噂話に花を咲かせていたと聞いている。

 そんな彼女にとって、トルトルニアはつまらない場所だろう。

 ここにはお茶会を開けるような素敵な庭も、毎日噂してもし足りないような話もない。

 魔獣の件を除けば、欠伸が出るほど暇な村なのだ。

 だからだろうか。

 ルタは、こういう噂話に敏感だ。

 村の誰と誰が付き合っているとか、今日はどの村から若い人が来ていたとか。

 おかげでリディアがどんな男に騙されそうになっているのか分かって良かったけれど、今は嫌な予感しかしない。

(ここだけの話、って言ってもすぐに話しそうだ)
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