殺戮学園
「何? この騒ぎって……」


「もしかして廊下で何か起きてるとか?」


「まさか、命がけの鬼ごっこじゃないよね。

あんなのウソに決まってるよね」


理恵はいつものように強がって見せていたが、顔から血の気が引いていた。


このまま教室にいては危険な予感……。


それを理恵と真美がハッキリと感じ始めていたとき、クラスメイトの宮本謙二が目を見開き、叫んでいた。


「大変だ!

人が死んでる!」


謙二のその言葉を聞いて、クラスの全員が席を立って、廊下の方へと走り出した。


そして廊下に顔を出した生徒一人一人が順に悲鳴を上げ、三年一組の教室から北側の階段の方へと慌てながら走っていく。


その様子を見た理恵は心臓が跳ねるような衝撃を受けながら、真剣な声で真美に言った。


「本当に殺人鬼が現れたみたい!

10年前に夢野学園に在籍していた男子生徒……。

そいつらが夢野学園に復讐するために本当にここに来たんだよ!」


オカルトや怪奇現象をまるで信じない理恵の言葉だからこそ、その言葉にはリアリティーがあった。


タイムカプセルに封じ込めていた呪いが解けて、その呪いが今、小又兄弟を呼び寄せたのだ。


逃げなくてはいけない。


命がけの鬼ごっこの鬼役、小又兄弟に捕まらないために。
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