殺戮学園
「た、助けて!

お願いだから!」


陽子の悲痛な叫びが胸に刺さった。


子豚が持っている大ハンマーは何人もの人を殴り殺しているし、死神が持っているナイフは何人もの人を刺している。


二人の殺人鬼は人を殺すことに迷いはないし、人を殺すことを楽しんでいるようにも見える。


残念なことだけど、あの小又兄弟が陽子の命を助けるとは思えない。


だから、陽子はきっともう……。


真美がそんなことを考えていたとき、子豚のような男が陽気に笑いながらこう言った。


「君がかわいそうだから、チャンスをあげる。

だけど、チャンスは一度だけ。

君はもしかして、生きられる!」


子豚がそう言うと、死神が不気味に笑って、兄を褒めた。


「さすが兄ちゃん!

女神様より優しいね」


「だろ、だろ。

オレは女神様より優しいぞ!」


子豚は調子に乗り、死神は子豚をおだてている。


二人の会話から子豚のような男が兄で、死神のような男が弟だと真美はわかった。


人を何人も殺しているその場所で、はしゃげるこの兄弟の気持ちが真美にはわからなかった。
< 28 / 82 >

この作品をシェア

pagetop