棺桶に接吻
それなら、おばあちゃんの記憶があるわたしは、だれなんだろう。
わたしは、おばあちゃん?
おばあちゃんは、わたし?
「千草は、一体だれなの?」
「おれはおれだよ。椿も椿だ」
でも、お母さんも椿だし、おばあちゃんもおじいちゃんも椿だ。
千草だって、きっとそうなのに。
わたしが、おばあちゃんといっしょなら、おじいちゃんをたべたおばあちゃんといっしょってことで。
それなら、おじいちゃんとおばあちゃんはいっしょってことだ。
それなら、わたしは顔も知らないおじいちゃんでもあって。
でも、顔はやっぱり知ってるわけで。
だから、わたしはおばあちゃんでもおじいちゃんでもあって。
きっとこれから、お母さんにも、お父さんにもなる。