棺桶に接吻


葬儀屋の着飾られたナイフを胸に当てられた、おばあちゃんを見るの。


刃が通った道から溢れる琥珀色を見て、ため息を零すの。


そうして、綺麗って息を飲むの。



春子さんは幸せ者ね、だってこんなに綺麗な心臓初めて見たもの、って、みんな口を揃えて言うの。



おとといの夜、死んだおばあちゃんは、次の日の朝には琥珀色だった。


いちばんうえの、死んじゃった細胞の皮膚だけ残して琥珀色だった。


おばあちゃんは、琥珀色の結晶になった。



そんなおばあちゃんを見て、お母さんは、とても綺麗、と笑って、どんな味がするのかしら、と呟いた。




そうして取り出された、琥珀糖になった心臓を、銀色の着飾ったナイフが切り分けて、お皿にとって、わたしたちに渡された。


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