【完】桜色の君を抱きしめたい
「な、凪先輩。離して下さい...。触れられるのは慣れましたが、目を合わせられるのはまだ怖いんです」

「触れられるのは慣れたんだ。それって、貴斗に触れられた時に慣れたの?」

「多分...。自分でもよく分かりませんが」

「そう...。ならさ、俺でも大丈夫だよね?双子なんだから...」

スッ

夢花の手に触れていた手は、頬に触れ始めた。

「嫌です...。離してください。お願いします凪先輩...!」

夢花の目には涙が溜まり始めた。今にもこぼれ落ちそうだ。その姿を見た凪は我に返って手を離した。

「ごめん...。好きな子を泣かせるなんて最低だよね。俺、少し焦っちゃったみたいだ。貴斗が触れるようになったって聞いて、俺も早く追いつきたいって...」

「ごめんなさい...」

「え?佐伯さん...?」

「今の凪先輩は好きになる事が出来ません...。私、そろそろ失礼します」

「佐伯さん...!」

手を掴もうとしたが、少しも触れられず、夢花は図書室を出ていった!

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