【完】桜色の君を抱きしめたい
そして次の日から夢花の練習が始まった。最初の相手は凪。夢花はソロパートの台詞はスラスラと読めた。しかし、凪とのシーンになった途端目を合わせるのが怖くなった。

「うぅ...。ごめんなさい。やっぱり怖いです」

「コラ佐伯!そんなんじゃうさぎを演じきれないぞ!?」

「は、はい!」

貴斗のスパルタ指導に耐え、また台本に目を向けて台詞を読み始めた。いつもの夢花なら、隠れていてもおかしくない。けど、今回の夢花は違った。逃げも隠れもしない。夢花が少しずつ成長しているのが伝わってくる。
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