[続]小さな恋物語
-智流-



また俺はやってしまった。


前と同じように佑希の気持ちを考えずに佑希を傷つけてしまった。


これじゃあ中学の時と全然変わらないじゃないか。


俺は亜依ちゃんに抱きしめられながら子供のように泣く佑希を見て呆然としていた。



「いつもながら智流は焦りすぎ」


俺は崇に頭をポカッと叩かれる。


「なんで俺はこんなに焦ってるんだろう」


後ろに立っている崇に聞こえるくらいの声で呟く。


「そんなのは好きな子に忘れられてたからじゃないか?」


崇は静かな声でそう正論を呟いた。


「だよな」


ここまで正論を言われると逆に清々する。


佑希が俺のことを思い出してくれる可能性はあるのだろうか。


俺はそれが淋しかった。




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