木村さんと蛇
4月8日、快晴。
真新しいグレーの制服。
私、冨岡舞(とみおかまい)は本日から高校生になる。
第一志望の学校に進学することができて嬉しい私だけど、普段から表情が豊かな方でもないのでニコニコしながら
『桜桃高等学園入学式』と看板を立てかけられている校門を通るわけもなく、内心では浮かれているのに表情はいつもと変わらず普通
それに、同じ中学から進学してきた同級生もいないから、ひとりぼっち。
今日から頑張って友達を作るとするか…
そう頭の中で作戦を練っていると、突然突風が吹いた。咄嗟の強風。こう言う時って、髪を押さえるのか、スカートを押さえるべきなのかよくわからない。
私は前髪をおさえ目を閉じた。砂埃が目に入ると困る。
風が収まり、ゆっくり瞳を開けると、私は何故か目の前の人物に釘付けになってしまった。肩まである長い髪は、背後から見ても艶があり天使の輪が冠のようにキラキラと光を反射している。
風に揺れるスカート。そこからかすかに見える白肌の太もも。
そして、舞い散る花びらを見上げ、花びらを掴んだ。
その時の顔が、幼いようで、柔らかい笑みを浮かべていた。
その生徒は掴んだ花びらを、カバンから入学準備時に配られた生徒手帳を取り出しそこに挟み、歩き出した。
彼女も私と同じ新入生…かな。
うっすら見えたリボンは赤色だった。
この学園は学年ごとにリボンの色が違う。
一年生は赤、二年生は青、三年生は緑。
当然、私は赤色で目の前の生徒も赤色だった。
何故か、熱くなる頬を両手で押さえながら校舎に入る。
すると、『入学おめでとうこざいます』と声をかけられて先輩に教室へ案内された。先輩に案内された、1-B。
扉は初めから開いていて、私はワクワク感と恐る恐るとした気分で教室に入った。
当然、見知った子なんていなくてみんな初対面。
自分の席を探しながらクラスメイトを一瞥していく。
大人しそうな子や、派手な子。はたまた、体育会系の女子や男子に、美形系の子。
この学園は、進学校であり勉学に対しては厳しいものの、その他の校則は多少は緩い部分もあり、私も含めて女子の大多数が化粧を施しているし、スカートの丈を短くしている。
それにしても、派手系の子達を見ていると私のスカートの丈がいじったのに長く見えてしまうのは何故だろう。そう考えつつも、自分の席に座りカバンから鏡を取り出して前髪や化粧崩れが無いかチェック。
すると、『そろそろ入学式が始まるからみんな体育館に行くよ』と、私についてくるよう先輩が指示し、私たちB組の生徒は先輩の後を追いながら体育館へ向かった。体育館に入る前に入口で組ごとに並ばされ、
扉は閉まっているのに、
『新入生!入場!』と、男性教諭の大声と共に体育館の扉が開いた。
吹奏楽部による演奏と、先輩達の拍手が反響し、心臓や頭に響く。中学の時の卒業式より、盛大の歓迎ムードに気負けしそうだ。
それでも、私たちは新入生用にセッティングされたパイプ椅子へ腰掛けていく。
そして、入学式が始まった。
国歌斉唱や、校歌(私たちは事前に歌詞を配られていたけどいきなり歌えはしなかった)
そして、校長先生や来賓の方々の長いお言葉を聞きながら式は順調に進んでいく。
すると、『新入生代表挨拶!』と教頭先生の言葉に私たち新入生はキョロキョロし始めた。この、新入生代表挨拶は入学入試で一位の生徒が代表として挨拶をする。みんな、誰が挨拶するのか興味津々だ。そして、一人の生徒が立ち上がった瞬間、私は、あっ、と声を漏らした。
真新しいグレーの制服。
私、冨岡舞(とみおかまい)は本日から高校生になる。
第一志望の学校に進学することができて嬉しい私だけど、普段から表情が豊かな方でもないのでニコニコしながら
『桜桃高等学園入学式』と看板を立てかけられている校門を通るわけもなく、内心では浮かれているのに表情はいつもと変わらず普通
それに、同じ中学から進学してきた同級生もいないから、ひとりぼっち。
今日から頑張って友達を作るとするか…
そう頭の中で作戦を練っていると、突然突風が吹いた。咄嗟の強風。こう言う時って、髪を押さえるのか、スカートを押さえるべきなのかよくわからない。
私は前髪をおさえ目を閉じた。砂埃が目に入ると困る。
風が収まり、ゆっくり瞳を開けると、私は何故か目の前の人物に釘付けになってしまった。肩まである長い髪は、背後から見ても艶があり天使の輪が冠のようにキラキラと光を反射している。
風に揺れるスカート。そこからかすかに見える白肌の太もも。
そして、舞い散る花びらを見上げ、花びらを掴んだ。
その時の顔が、幼いようで、柔らかい笑みを浮かべていた。
その生徒は掴んだ花びらを、カバンから入学準備時に配られた生徒手帳を取り出しそこに挟み、歩き出した。
彼女も私と同じ新入生…かな。
うっすら見えたリボンは赤色だった。
この学園は学年ごとにリボンの色が違う。
一年生は赤、二年生は青、三年生は緑。
当然、私は赤色で目の前の生徒も赤色だった。
何故か、熱くなる頬を両手で押さえながら校舎に入る。
すると、『入学おめでとうこざいます』と声をかけられて先輩に教室へ案内された。先輩に案内された、1-B。
扉は初めから開いていて、私はワクワク感と恐る恐るとした気分で教室に入った。
当然、見知った子なんていなくてみんな初対面。
自分の席を探しながらクラスメイトを一瞥していく。
大人しそうな子や、派手な子。はたまた、体育会系の女子や男子に、美形系の子。
この学園は、進学校であり勉学に対しては厳しいものの、その他の校則は多少は緩い部分もあり、私も含めて女子の大多数が化粧を施しているし、スカートの丈を短くしている。
それにしても、派手系の子達を見ていると私のスカートの丈がいじったのに長く見えてしまうのは何故だろう。そう考えつつも、自分の席に座りカバンから鏡を取り出して前髪や化粧崩れが無いかチェック。
すると、『そろそろ入学式が始まるからみんな体育館に行くよ』と、私についてくるよう先輩が指示し、私たちB組の生徒は先輩の後を追いながら体育館へ向かった。体育館に入る前に入口で組ごとに並ばされ、
扉は閉まっているのに、
『新入生!入場!』と、男性教諭の大声と共に体育館の扉が開いた。
吹奏楽部による演奏と、先輩達の拍手が反響し、心臓や頭に響く。中学の時の卒業式より、盛大の歓迎ムードに気負けしそうだ。
それでも、私たちは新入生用にセッティングされたパイプ椅子へ腰掛けていく。
そして、入学式が始まった。
国歌斉唱や、校歌(私たちは事前に歌詞を配られていたけどいきなり歌えはしなかった)
そして、校長先生や来賓の方々の長いお言葉を聞きながら式は順調に進んでいく。
すると、『新入生代表挨拶!』と教頭先生の言葉に私たち新入生はキョロキョロし始めた。この、新入生代表挨拶は入学入試で一位の生徒が代表として挨拶をする。みんな、誰が挨拶するのか興味津々だ。そして、一人の生徒が立ち上がった瞬間、私は、あっ、と声を漏らした。
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