はやく俺のこと好きになってよ
*


私は恋をしない。したくない理由がある。

それを壱は1番知っているはずなのに。


「私のこと、1番に知っているのは壱だよね?」


「そのつもりだけど」


「うん。私が辛い時、そばにいてくれたのも壱だよね?」


「おう」


「私が恋をしたくないのを知っているのも壱だけだよね?」


「ん」


「で。冗談なの?」


「本気」


「…」


なんで?私のこと、分かってくれているんじゃないの?

ずっと友達じゃないの?


「わりぃ、蒼の事、好きになっちゃった」


壱が時々見せる真剣な顔。

好きな事に打ち込んでる時に見せる顔。


「えっと…ごめん。私、壱のこと、そういう風に見れない」


でも私は無理。嫌な過去があるから。
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