婚約破棄3回された公爵令嬢の代筆屋
「王子は、もういいわ。私は、元山賊の頭領とかが素敵だと思うの!山賊と言っても、悪者しか襲わない義賊ね!孤児とかを助けたりしてるのよ!」
うふふふふ。
「うわー、それは確かに、リリィー様の言う、生命力と生活力と誠実さを持ち合わせた人物かもしれませんね。ですが……私はやっぱり王子の方がいいです!」
メイシーは子爵令嬢で、貴族院立女学園で出会った。お互いに恋愛小説ファンということで意気投合し、あっという間に仲良くなったんだ。
「あら、もしかすると、その山賊は、今はなき国の王の血を引く方かもしれませんわよ?国の復興のために、山賊のふりをして動いているのかも!」
と、私がかつて読んだ小説を思い出して話せば、
「きゃぁー、それはありですわ!熊みたいな容姿なのに、身なりを整えるとイケメンってやつですよね!」
と、即座にメイシーも反応してくれる。
子爵や男爵家の令嬢は、学校卒業後、城や上位貴族の館で働くことは多い。成績優秀だったメイシーは城に勤めることもできたのに、私と一緒に居る道を選んでくれた。人前では上下関係をはっきりと示した接し方をするけど、誰もいないときは女学生時代と変わらない親友モード。
「メイシーはどうする?市井の生活についてきてくれると嬉しいけど、無理にとは……」
「もちろん付いていきますとも!私も実は、市井での生活にあこがれてたんです!ワクワクします!」
宣言から1か月。
王都にある公爵邸を出る私を、お父様は涙をこらえて見送ってくれた。
お母様は、笑顔で頑張ってくるのよと送り出してくれた。
笑顔の裏で、お父様に「娘は、自由にするふりをして手の平で転がすものですよ」と囁いているなどつゆ知らず。
■
流石に、公爵家の一人娘なので、街に放り出して市井での生活を始めろ!というわけにもいかないのは理解してる。
なのである程度の条件は飲んだ。
場所は、我がウィッチ公爵家領の領都ガッシュ。王都の南に位置し、隣国と接しているため交易で栄えている街だ。
公爵令嬢の地位は隠し、商家の娘としてガッシュで暮らすことになった。私の住む屋敷の使用人はほとんど領主城から派遣されるらしい。
「お待ちしておりました、リリィーお嬢様。こちらがお嬢様のお店になります」
馬車が止まり、メイシーと降りる。目の前には……。
「「ロ、ロ、ロ、ロッテンさんっ」」
うひーっ。
うふふふふ。
「うわー、それは確かに、リリィー様の言う、生命力と生活力と誠実さを持ち合わせた人物かもしれませんね。ですが……私はやっぱり王子の方がいいです!」
メイシーは子爵令嬢で、貴族院立女学園で出会った。お互いに恋愛小説ファンということで意気投合し、あっという間に仲良くなったんだ。
「あら、もしかすると、その山賊は、今はなき国の王の血を引く方かもしれませんわよ?国の復興のために、山賊のふりをして動いているのかも!」
と、私がかつて読んだ小説を思い出して話せば、
「きゃぁー、それはありですわ!熊みたいな容姿なのに、身なりを整えるとイケメンってやつですよね!」
と、即座にメイシーも反応してくれる。
子爵や男爵家の令嬢は、学校卒業後、城や上位貴族の館で働くことは多い。成績優秀だったメイシーは城に勤めることもできたのに、私と一緒に居る道を選んでくれた。人前では上下関係をはっきりと示した接し方をするけど、誰もいないときは女学生時代と変わらない親友モード。
「メイシーはどうする?市井の生活についてきてくれると嬉しいけど、無理にとは……」
「もちろん付いていきますとも!私も実は、市井での生活にあこがれてたんです!ワクワクします!」
宣言から1か月。
王都にある公爵邸を出る私を、お父様は涙をこらえて見送ってくれた。
お母様は、笑顔で頑張ってくるのよと送り出してくれた。
笑顔の裏で、お父様に「娘は、自由にするふりをして手の平で転がすものですよ」と囁いているなどつゆ知らず。
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流石に、公爵家の一人娘なので、街に放り出して市井での生活を始めろ!というわけにもいかないのは理解してる。
なのである程度の条件は飲んだ。
場所は、我がウィッチ公爵家領の領都ガッシュ。王都の南に位置し、隣国と接しているため交易で栄えている街だ。
公爵令嬢の地位は隠し、商家の娘としてガッシュで暮らすことになった。私の住む屋敷の使用人はほとんど領主城から派遣されるらしい。
「お待ちしておりました、リリィーお嬢様。こちらがお嬢様のお店になります」
馬車が止まり、メイシーと降りる。目の前には……。
「「ロ、ロ、ロ、ロッテンさんっ」」
うひーっ。