溺愛砂漠 ~デザートローズ~
君の父親は地方都市にも展開してる運送事業の社長。それも嘘じゃない。この国で二大勢力って言われてる、裏組織幹部の顔が表でも裏でも構わないよ。関係ない。ミキはミキ。僕は僕。

「レ、・・・ン」

掠れた声。苦しそうに喘いでる。僕が知ってるなんて思ってなかったよね。

「言えないよ普通は。自分のお父さんは極道です、なんて。リクドウ会の本部長だっけ、すごいねミキのお父さん。ウチとは格が違うな」

「ごめ、・・・なさ。レンに言わなきゃって、でも、あたし・・・ッ」

思うようにならない体を捩ろうと藻掻くミキ。痛そう。辛そう。可哀相にね。でも足りない。まだ。・・・まだだよ。

「うん分かってる。お父さんが誰だからって僕が嫌いになると思った?・・・バカだね、ミキは」

あやすように微笑みかける。見えてない君に。
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