溺愛砂漠 ~デザートローズ~
「僕に紹介するときはどっちの肩書きでもいいよ。うちはオウシュウ会傘下だけど気にしてないしね」

「・・・・・・え・・・?」

呟きが小さくミキの口許から零れる。
ほら息を忘れちゃダメだよ。絶望するのはまだ早いんだ。

「僕の父さんが人材派遣会社の社長だって話したの憶えてる?前はミカミコウギョウって看板掲げててね。まあ今でもそうなんだけど、入れ墨(スミ)を入れてないだけで立派な跡取り息子なんだよ僕は、ミカミ組の」

そこでようやく上着の内ポケットから折り畳んだナイフを取り出すと、目隠しの布を刃で裂いた。視界を解放された美樹(みき)は電球色の照明の灯りに一瞬目を眇め、まるで幽霊でも見るように眸に僕を映してる。

(れん)櫻秀(おうしゅう)会・・・・・・ってほんと、なの・・・?」

「うん。生まれつきだから仕方ないね」

小さく笑えば君は泣きそうに顔を大きく歪める。
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