溺愛砂漠 ~デザートローズ~
自分が極道の娘だから赦されないって怖かった?悲劇の主人公になったつもりでいた?

ときどき縋るように僕を見つめてたね。分かってて気付かないフリしたんだよ。僕の正体を知らないままひたすら苦しんで、僕を失うことに耐えられなくなるように。

ねぇ美樹。あんな街中で、勢力争いしてる組織同士の親に生まれついた二人が出会う確率って、一体どれくらいだろうね。知ったとき感動すらしたよ。

自分のすべきことなんて一つだけだった。どうしても美樹に僕を選ばせること。

「戦争してるわけじゃないし、堂々と美樹をくださいって言いに行くつもりだけど僕は」

「そんなことしたら・・・!」

「生きて帰してくれないかな」

クスクスと笑ってみせた。
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