はじめてのカレカノ

先輩たちが帰ってから、バレー部の1年生たちが体育館から出てきた。

私は「ふぅ」と息を吐き、

「友哉くん!」

「あれ?結月さんじゃん。どうしたの、こんな時間に。いやいや、ちょっと待って!俺、心の準備できてない。待って、待って」

慌てる友哉くん。後ろには陽人もいて。

陽人は私がここで友哉くんを待っている理由を察してくれた。

「姉ちゃん、今夜はご飯いらないからゆっくりしてきて。俺は母ちゃんとこで食べてくるし」

そう言って陽人は友哉くんの肩をポンっと叩いて帰って行った。

「友哉くん、よかったらこれからどこかでご飯しませんか?」

「うん、俺お腹空いたからガッツリ食べたい」

友哉くんは、いたずらっぽく言ってくれたけど顔は笑っていなかった。
< 138 / 312 >

この作品をシェア

pagetop