はじめてのカレカノ
図書館から出ると真夏の光が眩しくて、セミの声が急に煩く耳に入ってきた。
「ん」
って翔が手を出すから、私も「ん」って言って手を繋ぐ。
これにも段々慣れてきて、それだけで幸せを感じるんだ。
フードコートでかき氷を注文した私たちは向かい合って座り、他愛ない話をした。
「そう言えば、翔はどこの大学を考えているの?」
「んー。長野方面の大学かな、って思ってる。まだ決めた訳じゃないけど」
「長野かぁ。遠いなー」
「電車ですぐだよ。3時間くらいじゃない?」
「長野は、お母さんと一緒に生活する為でもあるんでしょ?」
「そうだな、親父が仕事復帰したら母親が一人になるし。年内に戻ってこれそうだったら別に長野には拘らないよ。行きたい学部はどの大学にも大体あるしな」