はじめてのカレカノ

「うーーん、大分苦労したぞ、俺。 彩耶、泣き叫ぶし。なんであの子なのよー、とか言って。女に目の前で泣かれるの、ヤバいな。好きな子に泣かれるのとは違うんだよ。もうさ、理不尽な修羅場?謝るのもなんか違う気がしてさ。そしたら最後に彩耶が言った一言が

『私、翔に告白したことあった?なんで私が振られてるみたいになってんのよ、勝手に幸せバカになってろっつーの!』

だって」

「岡崎先輩らしいね。翔、頑張ったね。」

「俺、頑張った。ちゃんと最後に“ありがとう”って言えた」

「ふふふっ、翔ってさ、ホントは私より年下でしょ?全然先輩に見えないんですけど」

「だってさ、本気で怖かったんだぞ、彩耶の顔!」

「あー、それ分かる。美人さんが怒ると鬼になるよね」

「結月は全然鬼にならないのな!」

「どーいう意味ですか。ふんっ」

「結月、あとでちゃんとご褒美頼むね」

そう言って翔は人差し指で自分の唇をツンツン指した。

「・・・・ばかっ!」
< 171 / 312 >

この作品をシェア

pagetop