はじめてのカレカノ
静まり返る翔の家の玄関。
私が謝るしかない、のかな?チラッと上目遣いで翔を見る。
翔は勝ち誇ったような顔をして私を見下ろしていた。
「えっと、全部私の勘違い、でしょうか?」
「そのようだね」
「ごめんなさ、い?」
「なんで疑問形?」
「嫌いに、なりました、か?」
「そうだね、嫌いになったかも」
・・・・・。
・・・・・。
「結月、あのメール取り消す?」
「は、い」
「さよならなんて言わない?」
「い、わない」
「もう敬語も“高槻先輩”も言わない?」
「あの時は本当に悲しくて、別れなきゃいけないんだって思ってて。そしたら好きになる前のあの頃に戻らなきゃダメなんだって」
言葉を発していると、ぽろぽろと涙が溢れてきて。
そんな私を翔が強く強く抱きしめてくれた。