平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
また悩み込みそうな予感がして、リズはひとまずそう納得することにした。今は、仕事に集中しなければならないから。

その時、つんっと袖を軽く引かれた。

「え?」

疑問の声を上げて振り返ったリズは、低い位置にある目を見て驚く。

そこには、あの灰色の髪をした端整な顔立ちの少年が立っていた。人懐っこい表情でリズの袖をつまんでいる。

「あ、あの」

突然のことで、うまく言葉が出てこない。

どうして彼がここにいるの? なんで袖をつままれているのか。

ぐるぐる考えていると、リズよりも低い位置にある顔で少年がにこっと笑った。

「こんにちは、お姉さん。ねぇ、よければ俺に攫われてくれない?」

「は……?」

リズは、今度こそ呆気に取られた。









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