平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
四章 亡霊と白獣と謎
役所から少し進むと、ギヴォットのより賑やかな繁華街に出た。
建物が多くて、道は入り組んでいる印象がある。
土地勘もないものだから目が回りそうになったが、前を歩く少年が手を引いてくれるので、リズは迷わずに済んでいた。
カルロたちが見ていると言っていたから、もしかしたら遠目から追ってきてくれているのかもしれない。
――それを頼みに少年に付き合うことにしたのだ。
役所の前から手を引かれて、早十分。
今回、重要人物として急浮上したその少年は、実際に会ってみるとリズより頭一個分以上も小さかった。
引いてくれる手も、ジェドに比べるととても華奢だ。
だからリズは、その強くもなく弱くもない手を気遣って、ほぼ自分から足を進めている状態だった。
恐らくは、自分で切っているのだろう。
少し前を歩く少年の肩先で、弾むように揺れる灰色の髪がたまにあたるのが見えた。
時々、彼は確認するみたいにこちらを振り返った。
目が合うと、そのたび彼は少しだけ不思議がる。それから、リズがじっと見ているの気付いてにこっと笑う。
愛嬌があるものだから、笑いかけられるとこちらの気持ちも自然と和らぐ。悪い子には見えなくて、リズの口端もぎこちないながら上がった。
「お姉さん、人酔いとか大丈夫?」
ふと、少年が訊いてきた。
「え……? ああ、平気よ」