平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
「そっか。もしかしたら、いいところのお姉さんかなとか少し思って、心配になっちゃった」

そんなことを言われて、リズはびっくりする。

「私、村出身の平凡な子よ?」

「そうなの? なんかさ、ぼーっとしているというか、危なっかしいなぁというか。そもそも普通、こうやって大人しく付いてこないというか」

それで不思議がる表情を見せていたらしい。

リズは、彼に言われた『ぼーっとしている』を考える。それは、見た目からして頼りがないということだろうか?

「危機感がないって、よく言われない?」

「言われないわよ、そんなこと」

「本当に? ふうん。もし街中で俺みたいな美少年に声をかけられても、ホイホイ付いていったらだめだよ」

口角が引きつりそうになる。……悔しいけれど、確かにその忠告は的を射ているような気もした。

そもそもと思って、リズは口を開く。

「……イケメンの自覚はあるのね」

「顔がいいと、女の子たちが食事代も安くしてくれるからね。儲けもんだよ」

リズは、無垢な目で無邪気に答えられて困った。

一瞬、いい上司を演じているジェドが脳裏を過ぎっていった。その腹黒さを感じないこの子が、将来そうなりませんようにと少し心配してしまう。

店の角を曲がった建物の影で、少年がようやく足を止めた。

「この木箱に座りなよ」

手を解くと、積み置かれていた木箱の一つを叩く。

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