平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
戸惑いながら尋ねると、少年シモンの顔が初めて苦笑交じりになった。まだ少年顔なのに、不意に大人びてドキリとする。

「あいつがさ、なんか、あんたのことばっかり伝えてきて煩いんだ」

「え?」

やっぱり、獣騎士のように心の中で会話を……?

リズは胸がドクドクしてきた。

どうして獣が自分のことを伝えているのか、なんと話しかけているのか……気になるところは多々浮かんだ。

でも、シモンのどこか苦そうな笑顔が気になった。焦りをこらえて尋ねる。

「会話はできるの……?」

「できる時もあるけど、ほぼ一方的さ」

答えながら、シモンが思い返す顔でゆっくり髪をかき上げる。

「なんか、またがっていると、デカい流れみたいのがガツンッと中に入ってくる」

「流れ?」

「よく分からないうねり、みたいな感じかな。それに映像だとか、単語だとかが乗っていて、すげぇ頭が痛くなる」

それは苦しいのか、彼が物憂げにゆるい襟元を引っ張る。薄い胸板が見えて、リズはそろりと視線を逃がした。

子供同士であったとしても、異性の肌を見るなんてことは少ない。

リズは、相棒騎士と相棒獣の意志疎通はよく分からない。心の中で言葉を交わしている、というのが彼女のイメージだ。

でもシモンのは〝相棒騎士のする会話〟とは違うと思えた。

白獣は、相棒になった獣騎士をパートナーとして大事にすると思うから。

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