平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
映像だとか単語をぶつけてきて苦痛が起こる。それでも彼は、引き続きほぼ一方的に伝えられている現状だ。

「大丈夫なの?」

リズは、心配になって尋ねた。

「まぁ、ね」

ぴくっと反応したシモンが、ふいっと顔をそむけて言葉を切る。

大丈夫ではないのだろう。頭が痛くなるとは、どのくらいの痛みなのか。もしかしたら、しばらく余韻が続くくらいに苦しかったり……?

気付いたらリズは、彼の額にそっと手をあてていた。

「頭、まだつらいところがある?」

シモンが目を見開いて、ゆっくりこちらを見つめ返してきた。やや間を置いて、ぶかぶかの薄い古着の胸元をぎゅっと握り締める。

「……痛くなる、なんて言わなきゃ良かった」

「あら、あなた意外と意地っ張りなの?」

「お姉さん、男ってのは見栄っぱりなもんさ」

いっちょ前にそんなことを言われた。

リズは、不謹慎にも彼の膨れ面にくすりとしてしまった。最初はジェドっぽいと思ったけど、全然可愛らしい子供だと思った。

「村の年下の男の子にもね、年々強がってくる子がいたわ。でもね、背筋を伸ばして急いで無理に大人ぶらなくてもいいと思うの」

「ふうん……」

リズが額に手をあてるのを、シモンがじっと見つめる。

「お姉さんは、村の子供の面倒も見てたわけ?」

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