平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
「みんなで年下の子たちの面倒をみるのよ。私も小さい頃は、村のお姉ちゃんやお兄ちゃんが相手をしてくれたの」

だから、自然とそのようになる。そして誰もが、これまで村で頑張ってきた物知りな老人たちを大事にした。

「ふうん。そっか」

シモンが、どこか遠い話みたいに相槌を打った。その綺麗な灰青色の目に、リズが映っていた。

「お姉さんの手、冷たくて気持ちいいな」

「そう?」

「うん。なんか、頭の重さが引いていく感じ」

握られていたシモンの手が、胸元から離れる。礼を伝えられて、リズは座り直した。

「あんた、不思議だね」

視線を返すと、じーっとこちらを見ているシモンがいた。

「なんかさ、こう、他の人と違うというか。一人だけ色鮮やかみたいに俺の目を引くんだ。それもあって、話したいと思ったのかもしれない」

それは、リズも同じだった。初めて見掛けた際に気になって――。

するとシモンが、姿勢を戻して「いや」と頭を振った。

「あいつが伝えてくる影響もあるのかも」

そういえば、獣が自分のことを伝えてくると言っていた。思い出したリズは、考え込むシモンの横顔を遠慮がちに覗き込む。

「私のことを、なんと話しているの?」

「話してはこないんだ。あんたと出会った時のことを、ずっと映像で送ってくる。それと『あの娘』だとか『アティーシャ』だとか、断片的に単語を伝えてくるんだ」

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