平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
「――助けに入ろうとした時には、見たこともない大きな獣の姿に変わっていたんだ」

そう語り終えたシモンに、リズはごくりと息を呑む。

「そ、その時、あなたたちは大丈夫だったの?」

「うん、突然あいつが走り出したからね」

「走り出した?」

リズがきょとんとすると、彼は頷く。

「俺らなんかには目もくれず、真っすぐ山の傾斜を駆け降りて山道に出たんだ。そこを通っていた人間を、あいつは殺そうとしたんだよ」

「えぇ!?」

「うん、俺もびっくりしちゃってさ。それで止めに入ったら、言うことを聞いてくれたんだ」

それが、一緒にいることになった始まりだという。

リズは、獣が彼の言うことを聞いたといことを考えた。やっぱり彼には、獣騎士としての素質が……?

「一体なんの獣なのかは知らないけど、何かが山狼に入っているんだろうな、とは分かったよ。別の魂が入っている感じがする、というか」

「感じるの?」

「俺、、自分で言うのもなんだけど勘はいいんだ。動物と育ったせいかな」

シモンが笑った。野生の勘のような感覚に驚きつつも、リズは「そうなの……」としか相槌が打てない。

どうやら彼は、乗り移った獣が白獣だとは気付いていないみたいだ。

そう思っていると、彼が話を続けてくる。

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