平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
「どうだかな。お姉さん、ほんと人が良さそうなんだもん。甘いお菓子に誘われても断るんだよ、そういう男って下心ありありだから」
「し、下心だなんて……っ!」
とうとうリズは赤面して絶句する。
少しませたイケメン少年、シモンが「あはは」と笑って去っていった。
◆§◆§◆
それから少し経った頃、リズは役所の一室にいた。
「――なるほどな。そしてシモンという少年は、その山狼の中に入ったナニかが、白獣の亡霊だとは気付いていない、と」
締め切られた小さな室内、目の前には黒いオーラを背負って堂々立っているジェドの姿がある。
その正面で、リズは絶賛正座中だった。
恐くて目を合わせられない。
「確かに、有力な情報だ」
報告を聞き終わったシメを告げたジェドのそばから、コーマックがなんとも言えない表情で見守っている。
「だが」
「ひぇっ」
恐色が不穏になった直後、ガシリと頭を鷲掴みされた。上からギリギリと頭を押し付けられてリズは慄く。
「お前は、なんでそうタイミングよく物事を早く引き寄せるんだ?」
目を上げられないでいると、ぐいっと顔を上げさせられた。
背を屈めて覗き込んできたジェドの青い目と、近くから合って「ひぇ」とリズの口からまた細い悲鳴が上がる。
ジェドは静かに強い怒気を滲ませていた。
「し、下心だなんて……っ!」
とうとうリズは赤面して絶句する。
少しませたイケメン少年、シモンが「あはは」と笑って去っていった。
◆§◆§◆
それから少し経った頃、リズは役所の一室にいた。
「――なるほどな。そしてシモンという少年は、その山狼の中に入ったナニかが、白獣の亡霊だとは気付いていない、と」
締め切られた小さな室内、目の前には黒いオーラを背負って堂々立っているジェドの姿がある。
その正面で、リズは絶賛正座中だった。
恐くて目を合わせられない。
「確かに、有力な情報だ」
報告を聞き終わったシメを告げたジェドのそばから、コーマックがなんとも言えない表情で見守っている。
「だが」
「ひぇっ」
恐色が不穏になった直後、ガシリと頭を鷲掴みされた。上からギリギリと頭を押し付けられてリズは慄く。
「お前は、なんでそうタイミングよく物事を早く引き寄せるんだ?」
目を上げられないでいると、ぐいっと顔を上げさせられた。
背を屈めて覗き込んできたジェドの青い目と、近くから合って「ひぇ」とリズの口からまた細い悲鳴が上がる。
ジェドは静かに強い怒気を滲ませていた。