平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
優しく諭すような言い方だが、彼なりに配慮した説教ではあった。そう言われてしまったら、反論の余地もなくて反省する。

「まぁ、見ていたカルロからも話は聞いたがな」

ふぅとジェドが吐息をもらした。

「こっちも当時を知る担当官と合うことができた。その男から聞いた内容からも、山に捨てられたのは確からしい」

改めるように彼はそう言った。

「だが、出生記録にもなかったことから、この町や近隣の村の人間ではない。別のところで産まれたあと、ここに捨てられたのだろうと推測されているようだ」

「そんな……」

恐らく、山を伝ってこちらに流れ付いた可能性もある。当時の担当官は、少年が一人、山に住んだらしいと分かって対策に乗り出た。

だが、保護しようと少年に接触したところ――。

「『獣が家族?』」

ジェドから聞かされた少年の回答を、リズは思わず繰り返してしまった。

するとコーマックが「はい」と頷く。

「リズさんが今回確認してくれた『シモン』という名の少年ですが、山に捨てられた際に、動物たちに助けられたのだと担当官にも伝えていたようです。だから自分は、山のある場所を伝って暮らしていこう、と」

それが、当時のシモンの最初で最後の答えだった。

保護を断った。リズは、それを聞いて胸が苦しくなった。彼は、死んでしまえと望まれて捨てられたと語っていた。

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