平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
人里に戻らないと決め、山で終わるためにそう答えたのだと分かった。

「……とても、寂しい返答ですね」

そんな幼い年齢で、彼にそう言わせた覚悟が悲しかった。

リズが思わず思いをこぼせば、ジェドも考え込む顔をした。

「そうだな」

「団長……」

コーマックが、気遣わしげにジェドを見る。

けれど、ジェドの目は悲観に暮れていなかった。ふっと上げられた視線は、強さが宿っていた。

「だが、それでもそいつは生き伸びた。今も、しっかり生きている――そうだろう?」

確認されたリズは、励まされるのを感じて頷き返した。

やっぱりジェドはすごい人だと思った。落ち込んだ心にパワーが戻るのを感じた。リズだけでなく、コーマックの士気まで戻ったようだ。

「シモン少年が山々を伝って暮らしていたとすると、各町と村での被害が『たびたび』であるという供述も頷けますね。そして保護で接触した際の件もあって、この町は強い対応に出られなかった、と」

「そうだろうな。語っていた担当官の顔色を見ただろ、申し訳なさがあった」

ジェドが、表情の戻ったコーマックを見て答えた。

「そしてそいつは、たまたま亡霊の目覚めと遭遇した、というわけだ」

それは不運であるのか、それとも獣騎士の素質がある彼が偶然したのを、幸いだと思えばいいのか分からない。

三人の間に、つい沈黙が落ちた。

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