平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
それを破ったのは、またしてもジェドの強い声だった。

「どちらにせよ、このまま抑え続けられないのは感じていたんだろう――相手が亡霊であれ、白獣である以上、俺たちの管轄内だ」

自分たちだけができる仕事。

そうジェドの言葉で改めて奮い立たされ、リズの目にも力が戻った。コーマックと共にしゃんと背筋を伸ばす。

「それで、団長。いかがされますか?」

副団長としてコーマックが尋ねた。

ジェドが鷹揚に頷き、手を払ってこのたびの決定を伝える。

「ベルベネット子爵の別邸に、獣騎士団の一小隊分を招集する。そこで、森に潜んでいる亡霊の白獣を探し出して抑える」

その亡霊の白獣が、借りた肉体で人を襲い殺してしまう前に。

リズは、不覚にもジェドに見とれてしまった。

仕事にあたるジェドの真剣な表情は、誠実で、誠意に溢れて、ずっと見ていたい気がするくらいに凛々しかった。

コーマックのように、彼をそばで支え続けたい。

まだまだ新米だけれど、リズもその隣にい続けてはいけなだろうか――。

その時、ノックの音がしてハッと我に返った。ジェドが今になって思い出したように頭をがりがりとする。

「迎えの馬車だ。話を聞き出すために、内密に調査していることを伝えた。そうしたら村までの馬車を手配されてしまってな」

ベン=ドラッド村には、獣騎士団であることをもう知られている。

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