平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
それでも、騎獣で戻ればまた騒がしくしてしまうだろう。それを配慮してくれたのだとか。

「いったん、馬車でベルベネット子爵邸に戻る。それから獣騎士団に知らせを出す」

一番早い連絡手段を、ベルベネット子爵が持っている。

そして彼の別邸は、森の木々に囲まれて外から隠されていた。屋敷前は広く、戦闘獣の着地場所として申し分ない。

ジェドとコーマックと一緒に、部屋を出た。

案内をする役所員に続いたタイミングで、リズは思い出した。

「カルロと、それからエリーは……?」

遠慮がちにコーマックの相棒獣の名前も口にした。

獣騎士が、相棒獣になった折りに付けて心の中で呼ぶ名前。それは獣騎士にとっても特別なものだと思っているから。

すると、コーマックが肩越しに振り返ってにこっと微笑んだ。

「大丈夫ですよ。エリーも、きっと名前を呼ばれれば喜びます。団長が普段からカルロの名前を呼んでいるので、僕も最近はよく呼んでしまいます」

リズが気にしなくてもいいように言ってくれているのだろう。優しく笑った目から伝わってきて、じーんっと感動した。

さすがは獣騎士団で『理想の上司ナンバー2』と言われている人である。

優しさで言えば、裏表もない彼こそが一番なのだけれど……。

そう思った時だった。不意にジェドに肩を抱かれて引き寄せられ、歩くコーマックから引き離された。

「何か言いたそうだな、リズ」

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