平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
少しだけ休憩しようと思った。もう、とにかく眠い。リズは背もたれに少し寄りかかった。目を閉じて間もなく意識が沈んだ。
◆§◆§◆
走り出した馬車は、ほどなくしてギヴォットの町を出た。
その直前に、通り雨が降り始めていた。車窓の風景は町並みから、雨を受ける緑の木々へと変わる。
それを、ジェドは向かいの座席に移動して眺めていた。反対側でコーマックがメモ帳に記録を付けている中――眠ったリズに膝を貸していた。
どうやら気を張って疲れたようだ。乗車して少しもしないうちに眠ってしまったのである。
「全く。……慣れないことをするからだ、馬鹿」
ジェドはやれやれと囁きを落として、リズの春を思わせる髪に手を添える。
いつもだったら、控えめながらぽんっと叩いていただろう。だが、撫でるその仕草はとても優しい。
いつも突飛なところで行動力を起こすリズ。
彼女の寝顔へ目を戻し、そんなことを思い返すジェドの目は穏やかだ。その青い瞳にリズを映し続ける。
彼女の柔らかな髪は、触れるたび手に馴染み離れ難くなる。
起きている時だったら、こんなにも大人しく触らせてくれないから。
鈍く揺れる馬車の振動音。時間がゆっくり流れている気がした。自分の膝枕で安心して眠る彼女が、ただ愛おしい。
――役所に向かう時、繋いだ手の温もりがまだ頭を離れない。
◆§◆§◆
走り出した馬車は、ほどなくしてギヴォットの町を出た。
その直前に、通り雨が降り始めていた。車窓の風景は町並みから、雨を受ける緑の木々へと変わる。
それを、ジェドは向かいの座席に移動して眺めていた。反対側でコーマックがメモ帳に記録を付けている中――眠ったリズに膝を貸していた。
どうやら気を張って疲れたようだ。乗車して少しもしないうちに眠ってしまったのである。
「全く。……慣れないことをするからだ、馬鹿」
ジェドはやれやれと囁きを落として、リズの春を思わせる髪に手を添える。
いつもだったら、控えめながらぽんっと叩いていただろう。だが、撫でるその仕草はとても優しい。
いつも突飛なところで行動力を起こすリズ。
彼女の寝顔へ目を戻し、そんなことを思い返すジェドの目は穏やかだ。その青い瞳にリズを映し続ける。
彼女の柔らかな髪は、触れるたび手に馴染み離れ難くなる。
起きている時だったら、こんなにも大人しく触らせてくれないから。
鈍く揺れる馬車の振動音。時間がゆっくり流れている気がした。自分の膝枕で安心して眠る彼女が、ただ愛おしい。
――役所に向かう時、繋いだ手の温もりがまだ頭を離れない。