平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
「大丈夫だ。このくらいの雨なら、問題ない」

顎を擦るジェドが、元の向かい側の座席へと戻った。

コーマックが言った通り、間もなく雨は弱くなっていった。

でもリズは、カルロたちが気になって仕方がなかった。ようやく別邸に到着した時には、雨は上がってしまっていた。

けれどもどかしい思いで馬車が去っていくのを待つ。

「私っ、先に見てきます!」

「あっ、おいリズ!」

もう馬車が見えなくなったと分かった途端、リズはジェドの声も振り切って走り出した。

そうしたら、見ていたのか、カルロたちの方からやって来た。

森目掛けて走ったリズの前に、ドシャッと水をはねて着地する。その二頭を見て彼女は短い悲鳴を上げた。

「カルロ! ああっ、それにエリーもびしょびしょに……っ!」

名前を聞いても『メス? それともオス?』と、いまだどちらか分からない優雅で美麗なコーマックの相棒獣も、長い毛並みがぐっしょくりだった。

すると、カルロが顰め面を深めた。

「ふんっ」

鼻息を鳴らしたかと思うと、濡れた地面に爪でガリガリと書く。

【落ち着け。心配いらない】

「で、でも、早く乾かさないと風邪を引いてしまうわ」

【だから、大丈夫だと言ってる】

まるでジェドみたいな言い方で、カルロが筆談する。コーマックの相棒獣が、ちょっと困ったように優しい目を細める。

【少し、離れろ】

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