平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
「そっちが本音だろ。言っておくが、近付くなよ」

「分かっていますよ。白獣は、人によっては相棒騎士がいても牙を剥くのでしょう? 好き嫌いがあるみたいですね」

ベルベネット子爵は、軽い調子で答えてティーカップを置く。分かっているのかなんなのか、不明な人だ。

でも、あえて言うのなら、それは良いように思えた。

リズの村の女の子たちみたいに、獣騎士自身と距離を取る人だっている。近付かないけれど味方して、好意的に場所を貸してくれる人もいる。

ベルベネット子爵みたいな人も、いていい気がした。

「それにしても、亡霊の正体は白獣だった、と――これは、いよいよ面白くなりそうですね」

ふんふんと、ご機嫌にベルベネット子爵が思案を口にした。

途端に、ジェドがあきれた様子で溜息をもらす。

「子爵。まだ死傷者が出ていないとはいえ、人や家屋に被害は出ている」

「死者も重傷者もいない、これは喜ぶべきですよ。ああ、彼らの治療費や修繕費、その他にかかる費用や援助金は全て私が保障しています」

抜け目ない。

にっこりと笑ったベルベネット子爵を、リズたちは見つめる。

「私はね、獣騎士団とその領主の、希有な歴史的出来事を目にできたこと、良かったと思いますよ」

演技臭く告げられたジェドが、ふうんとティーカップに口を付ける。

「歴史的、ね」

少しの思案ののち、彼が言った。

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