平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
ベルベネット子爵が「そうです」と頷く。

「生きていない野生の白獣が〝肉体を得て蘇った〟だなんて、これまでになかった初めてのことが起こったのです」

気持ちが高ぶったのか、ベルベネット子爵が立ち上がる。

カルロたちが、ぴくっと耳を立てて僅かに反応する。反射的に警戒してしまったようだ。

いちいち全部が演技がかっていて、リズたちは呆気に取られる。

「ひとまず座れ」

はぁと深い溜息をこぼして、ジェドが手に額を押し当てて言った。

「これと今後付き合うと思ったら、心底嫌になってきた」

「まぁまぁ団長、そう言わず……」

貴族間の付き合いとしては、関われない可能性の方が難しい。コーマックもそれ以上は言えなさそうだった。

「ふっふっふ。亡霊、ですか。一体なんの因果なのでしょうねぇ」

くつくつ肩を揺らしながら、ベルベネット子爵が着席する。

「白獣が、それほどまでの怨みを抱えて、なぜ今になってこの地で蘇ったのか、理由は分かりません。けれど歴史は長い。きっと、何かしら意味があるのだろうとは思います」

「何かしらの意味、ですか……?」

「たとえば、この地で怨みのままに死んでいった、とかね」

尋ねたリズに、ベルベネット子爵がお茶目にウインクして言った。

「まさか、そんな」

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