平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
五章 獣騎士団と亡霊
通り雨の雲は、一刻もしないうちに上空から消えた。
リズたちは、獣騎士団の制服に身を包んだ。ジェドとコーマックも、獣騎士の特徴的なロングジャケットの軍服を着込み、腰には剣を差す。
予定時刻、屋敷前の広いスペースに出た。
別邸の二階から、ベルベネット子爵が双眼鏡を構えてワクワクとスタンバイしている。執事と全使用人たちも同じだった。
彼のもとには、同じ感覚の人たちが集まっているみたいだ。
リズは、気になって見てしまっていた。しかし、そんな時間もカルロたちの反応で終わった。
獣騎士団の強みの一つは、その機動力の速さだ。
やがて東の空から、獣騎士団の小隊が飛来してきた。先頭の戦闘獣に騎獣し、獣騎士たちを率いているのはトナーだった。
「獣騎士第三小隊、及び小隊長トナー参上しました」
トナーが、ぴしりと軍式の作法で敬礼をした。着地した獣騎士たちが、相棒獣を後ろにその動作を揃える。
……別邸の二階から、何やら歓声が聞こえたけれど無視だ。
何か言いたくてたまらないようなコーマックに習って、リズも口を引き結んで見ないようにしていた。
「事情は、指令書で伝えた通りだ。まずは迅速に亡霊を抑える」
ジェドが、静かに厳格な雰囲気をまとって告げた。
謎の獣の原因になっているのが、白獣の亡霊だと分かった。そこで獣騎士団による本格行動が開始することになったのだ。