平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
相手となる獣騎士も同じだ。ジェドが長らく相棒が見付からなかったのは、引き出す能力が高すぎることが白獣に負担になったから。

――シモンの場合は、その逆なのだ。

「戦闘獣が、相棒騎士にと相手を探すのは相性だけじゃない。……相手のことを考えるからこそ〝慎重に選んでくれる〟ところもある」

何も分からないまま、魔力を繋げて騎獣している十五歳のシモン。

リズは、語っていた彼の顔色が悪かったことを思い出す。それは、とても苦しそうにもしていて――。

『デカい流れみたいのがガツンッと中に入ってくる』

『すげぇ頭が痛くなる』

もし騎獣しているその獣の方に、相手への尊厳も、相棒としての思いもなかったとしたら?

想像してリズはゾッとした。

相手の亡霊は、恐らく普通の獣騎士が扱うのも難しい強い白獣。対するシモンは、訓練の一つだって積んでいない獣騎士候補だ。

両者のバランスが少しでも崩れれば、必ず負担となる。

――そして、その比率が大きく開くほど危険なのだと想像できた。



◆§◆§◆



ジェドから行動開始の号令が放たれた直後、獣騎士たちは騎獣で一斉にベルベネット子爵別邸を飛び立った。

戦闘獣が白い大きな身体を躍らせて、午後の日差しも和らぎ出した空を背景に、山の上を飛行する。

リズを前に乗せ、カルロに騎獣したジェドが先頭を飛ぶ。

「亡霊だが、魔力もいっちょ前らしいな」

< 137 / 192 >

この作品をシェア

pagetop