平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
眼下の山を見下ろしたジェドが、忌々しく舌打ちする。カルロと心の中で会話があったのだろう。

「昼間は『寝ている』のも多いというが、魔力が動いていて、少年の方の匂いまで掻き消されているらしい」

「マジっすか。こちらでも察知できないのは魔力のせいですかい」

近くまで移動した獣騎士の一人が、相棒獣の上で気の抜けた息を吐いた。

「とんでもねぇっすね。そんな白獣、存在するんですか?」

「よく分からん亡霊現象だしなぁ。俺の相棒獣も、まるで獣の匂いさえしないって言ってる。よく鼻が効く方なんだけどな」

「君の相棒獣もだめだったか。俺の方も無理だった」

トナーが答え、コーマックへ目を向けた。

「副団長の方もですか?」

「初めに亡霊に遭遇した時にも、そうでした。見失った時は、どうにかカルロが脚力で見付け出したらしいです」

「カルロ、力技でいったのか? そりゃすげぇな」

ひゅーと獣騎士が口笛を拭く。

気付いたジェドが、ちらりと部下たちを睨み付けた。

「無駄口を叩くな。ったく、自由ら奴らだ」

「すみません。上空にいたら、団長殴りに来られないかなって――いてっ」

カルロが急降下して、擦れ違いざまその獣騎士の頭を前足で軽く踏んだ。一瞬、ぐらりとしたリズは「きゃっ」とジェドの腕にしがみついた。

「カルロ、よくやった」

「よ、よくやったじゃないですよ団長様!」

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