平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
リズは、心臓に悪くて思わず言った。

相手の獣騎士も同じだった。ドクドクしている胸を押さえている彼のそばから、別の獣騎士が相棒獣を近くへと寄せてきた。

「そうですよ団長っ、俺ら、こう見えて一緒に普通に飛行できるのを喜んでもいるのに――いって!」

もう一度、カルロが今度はその獣騎士の頭を器用に踏んだ。

リズはまたびっくりした。彼女の腹に腕を回して抱いているジェドは、照れ隠しみたいな顰め面だ。

「そんなの知ってる。いちいち言ってくれるな」

ふんっとジェドが言った。その鼻を慣らす感じは、どこかカルロを思わせた。

全てを見ていたコーマックは、もう愛想笑いも引きつっていた。彼の相棒獣エリーも、カルロに何か言いたげだった。

少し進んだところで、ジェドが片手で合図を出した。

獣騎士団は、いったん安定飛行に入る。

「できれば、亡霊が動いていない間に、先に少年の方を説得して保護したい考えだったが……甘かったか」

「全く見当がつきませんね」

「ああ。何か、目印でもあれば楽だったんだがな」

下に見える山を、ジェド睨み付けるように見つめる。

リズは、シモンを思い出して緊張に胸が痛んだ。このまま発見が遅れて、彼らのいう『最悪なこと』になったりしたら?

どうか無事で見付かって欲しい。

そんな思いで、リズも眼下を食い入るように見渡した。

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