平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
そうリズが首を捻っていると、掌にお菓子の包みを数個置かれたシモンが、拳骨も忘れた様子で歓声を上げた。
「わぁっ、何これめっちゃいい匂いする!」
「ベルベネット子爵の別邸にあったものだ。味は保証する。だが、食いたくないなら食わないでもいいぞ。今すぐ食べないなら返せ」
「えっ、やだよもったいない! そんな上等な菓子食べたことねぇもん!」
発破をかけられたシモンが、遠慮もなくなって菓子の包みを解きにかかった。
少しすれば歩けるくらいまで回復するという。そんなジェドの話に、やっぱり素直じゃないと思いつつ、リズたちは亡霊へと目を戻した。
相棒獣たちが距離を置いて囲む中、大型級の白獣である亡霊は、項垂れるようにして静かに座っていた。
もはや、戦う気力もなくなってしまっていた。
「なぜ、こんなことをした?」
《……そんなこと、もう話しただろう》
獣騎士がどうなろうと知ったことではない。そう怨むほどの思いで、シモンを無理やり騎獣させた。
ジェドが黙り込んだ。
すると言葉を待つ彼に、亡霊が目を眇める。
《伯爵。我らが故郷の地の領主よ。どうしてあなたは、あのお方を助けてはくださらなかったのだ》
深い嘆きにくしゃりと表情が歪む。
――その思いが悔いとなり、憎しみとなって彼を亡霊として蘇らせた。
「わぁっ、何これめっちゃいい匂いする!」
「ベルベネット子爵の別邸にあったものだ。味は保証する。だが、食いたくないなら食わないでもいいぞ。今すぐ食べないなら返せ」
「えっ、やだよもったいない! そんな上等な菓子食べたことねぇもん!」
発破をかけられたシモンが、遠慮もなくなって菓子の包みを解きにかかった。
少しすれば歩けるくらいまで回復するという。そんなジェドの話に、やっぱり素直じゃないと思いつつ、リズたちは亡霊へと目を戻した。
相棒獣たちが距離を置いて囲む中、大型級の白獣である亡霊は、項垂れるようにして静かに座っていた。
もはや、戦う気力もなくなってしまっていた。
「なぜ、こんなことをした?」
《……そんなこと、もう話しただろう》
獣騎士がどうなろうと知ったことではない。そう怨むほどの思いで、シモンを無理やり騎獣させた。
ジェドが黙り込んだ。
すると言葉を待つ彼に、亡霊が目を眇める。
《伯爵。我らが故郷の地の領主よ。どうしてあなたは、あのお方を助けてはくださらなかったのだ》
深い嘆きにくしゃりと表情が歪む。
――その思いが悔いとなり、憎しみとなって彼を亡霊として蘇らせた。