平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
その声が、途中で小さく震えた。笑いながらも目を擦るシモンを、やれやれとコーマックが後ろから頭を撫でた。

その時だった。カルロが鼻を鳴らしてリズは目を戻す。

「ふんっ」

もう声を発せなくなった彼が、ぐいっと鼻先で向こうを差す。

「何? あっ」

西の方向、ベルベネット子爵の領地の境目になっている山々の向こうに、自分の村が小さく見えた。

気付いたジェドが、腹を抱いている腕を引き寄せる。

「なんなら、一晩は故郷で過ごすか?」

「え?」

耳元で低い声がして、リズはドキリと胸がはねた。すぐには言葉の意味を掴みかねた。

「今回は、仕事で無理やり里帰りさせた。俺の方からきちんとご両親たちに説明して、特別休暇として、明日、俺とカルロで迎えに来てもいい」

今は、いつだってどこへだった飛んで行ける。

少し考えて、リズはすぐ首を小さく横に振った。

「いえ、いいんです。私が一時帰ってきたことを、お父さんもお母さんも、みんなもとても喜んでくれましたから。それに……」

「それに?」

「私が、離れたくないんです。村にいたら、カルロとも一緒にいられないのも、とても寂しくて」

リズにとって、もうかけがえのない初めて教育した可愛い戦闘獣だった。

「『カルロとも』ということは、そこには俺が含まれていると取っても?」

不意にジェドに追求されて言葉が詰まる。

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