平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
「じゃあ――俺のところに来ればいい」
「え?」
小さく答えてきた声。
ぱっと振り返ると、ジェドの少し赤くなった横顔があった。
「俺の屋敷なら、カルロとも一緒に住める」
それって……?
胸が、じょじょに確実に高まっていくのを感じた。
いつの間にか、全員が黙ってリズとジェドを見守っていた。周りの空気を見渡していたシモンが、ふと「あ」と声をもらした。
「もしかしてあの団長さん、お姉さんにホの字だったの? というか同衾って、すでに付き合ったりしている感じ? なーんだ。そりゃあ、取引きだなんて悪いこと言ったなぁ――もがっ」
ひとまず、ませたシモンの口をコーマックが押さえた。
リズは気持ちが抑えられず、どきまぎしながらも口を開いていた。
「その、ずっと聞きたかったんです。この前の、夜のこと……」
思い出したら、胸が煩いほど高鳴って、せっかく勇気を振り絞った言葉も途切れてしまう。
するとジェドが、小さく咳払いした。
「少し前に口走ってしまったが、その、……俺は『未来の婚約者』のことを、本当のことにしたいと思っている」
本物の恋人に。
リズは心の中で呟いた。子爵邸に泊まった夜のことが思い出された。それは婚約をして、ゆくゆく彼の妻になるということ――。
『見初めた人を離さない』