平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
《ふん。喧嘩など、するはずがない》

カルロは、全くと思ってつい鼻息を鳴らした。

すると母のような優しい目をした相棒獣が、くすくす笑う。

《そうですわね。私はメスで、老いた白獣――ほんと、あなたはとてもお優しいお方ですね》

《ふんっ》

お喋りが過ぎるぞと、カルロはジロリと隣に視線を移動する。だが不貞腐れているような顰め面を、彼女は穏やかに見つめていた。

美しい紫色(バイオレット)の目が、しばし互いの白い獣姿を映し合う。

《それにしても。あなたが、ここにいらっしゃるなんてねぇ》

彼女の老いた獣の目が、穏やかに微笑む。

《縁とは、分からないものですね》

カルロは、何も答えなかった。

視線を戻してみると、リズの肩を抱いたジェド。両親に喜ばれたリズが、大変困った様子でどうにか笑って誤魔化している。

年を重ねた夫婦とリズとジェドの、賑やかな団欒。

その様子が、とてもとてもカルロの目に鮮やかに映った。

つい、時を忘れて見つめてしまっていた。ジェドの喜び、そしてリズが危険もなくそこで過ごす姿が良くて――。

《女王の戦士、暮らす山と群れを守る白獣。先代から名を継承する戦士のうちの一頭であるあなたが、まさか人里に下りてくるだなんて》

《――予感がした。気付いたら、足が向かっていた》

カルロは、ポツリと初めて本音を口にした。

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