平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
やっぱりリズは免疫がないのだ。しかも、それをジェドが言っているかと思ったら、どうしてか赤面してしまった。

すると、彼がこちらを見てくすくす笑った。

「ほら、照れた顔だってすごく魅力的だ」

「だっ――先輩!」

リズは、もうもう恥ずかしくって思わず叫んだ。

これ以上はやめて欲しい。ジェドにとっては時間潰しにもなる貴族的な道楽の一つなのかもしれないけれど、本気にしてしまいそうだ。

なのに彼は、頬杖をついてリズに甘く優雅に微笑んでくる。

「リズの口から『先輩』と言われるのも、悪くないな」

「そ、それは、今は。だって」

「でも、できれば名前で呼んでくれてもいいのにな。呼んでみないか? ジェドって」

「よ、呼びませんっ」

また意地悪されているのだろう。にこっと微笑みかけられたリズは、赤面顔で頬を膨らませると、ぷいっとそっぽを向いた。

周りで見ていた村人たちが、これはこれはといった様子で、めでたい空気を漂わせた。エディもニヤニヤして呟く。

「なるほど、本命はジェドさんなわけね」

そんな中、完敗した彼の息子ディックが、場の片隅で年下の女の子たちに慰められるという事態になっていた。

「全く、大人げない……」

コーマックは、可哀そうなディックを前に溜息を落とした。ジェドは知らぬふりで上機嫌だ。

「この前、またリズに一本取られたからな。名誉挽回だ」

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