平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
「それはあなたが勝手に見惚れたりしていただけでしょうに――いたっ」

最近、幼馴染の恋問題で精神的疲労がたたっていたコーマックは、つい口が軽くなっていた。ジェドが目も向けず頭を押さえ付けた。



日が暮れた頃に、賑やかだった食事会も終わった。

早々に就寝となり、場所を片付けたのちに解散した。リズは両親と、久しぶりに自分の家へと向かった。

二階ある部屋は、綺麗にされていた。

お日様の匂いがするベッドに寝転がった途端、懐かしい匂いがした。

「有り難いわ……」

たぶん、戻ってくるリズのために、母がシーツも全て干してくれていたのだろう。故郷の風の匂いも含んでいた。

でも静けさを聞きながら、寂しくなった。

ジェドとコーマックは、下宿屋のクライアットが親切にも名乗り出て、急きょそこに泊めさせてもらうことになった。

うちには旅商人用の馬舎もありますから、相棒獣もどうぞ、と。

けれどそれは、予定されていた村長の家よりも、クライアットの家が村の端だったのも理由にあった。

相棒獣は、相棒騎士のそばから離れることがない。危険な存在だから一緒に村人から引き離す――みたいなものだと、あとでリズは気付いた。

村の女の子たちも、それを分かって二人には寄らなかったのだ。

『もし急に戦闘獣が現われたりしたら、危ないでしょう?』

獣騎士に馴染みがない村では、そう教えられるのも無理はない。
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