平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
二章 ひみつの調査です
翌朝、リズたちは両親や村人たちに見送られて、町から引き続きの馬車で村をあとにした。
午前中いっぱいかかって、ベン=ドラッド村の近くまで来た。
徒歩一時間もかからない道のりで、いったん下車した。荷物と共に馬車を先に村へ向かわせ、道中の様子を確認しながら歩く。
木々や雑草に囲まれた道は、他に人の気配はなかった。
リズたちのそばを、歩みを合わせてコーマックの相棒獣とカルロも進む。
「……ねぇカルロ、その、さすがに腕が疲れてきたんだけど」
しばらく経った頃、リズは困った声を上げた。
歩くカルロが頭を寄せていて、彼女はもふもふの首回りに押され気味だった。あれからずっと押し返すように手で撫で続けている。
「ふん!」
「何を怒っているの?」
「いや、怒っているのではなく」
ジェドが言いかけた時、カルロがリズを彼の方へぐいーっと押した。
やや傾いた彼女の身体を、ジェドが肩を抱いて支えた。手からも温もりが伝わってきて、リズは途端に慌てる。
「ちょっと、カルロったら」
「カルロ、よくやった」
ジェドが、真面目な顔をしてそう言った。直前に言いかけた言葉も忘れたかのようで、カルロがよしと得意気だ。
「だ、団長様」
「ああ、いや言い間違えだ、リズ。カルロの気が済むまで撫でてあげればいいじゃないか。俺が支えていてあげるから」