平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
「人里以外は広範囲で移動している印象だが、確か被害が出始めたのは、先月と少し前。ちょうど、お前が分館で働き出した時期か」

「とすると、入れ違いで害獣被害の噂が来ていたかもしれませんね」

そうすると、その頃にはこの問題は始まっていたのか。

気になるのは、町長が口にしていた目撃されたその大型獣の姿だ。

――その特徴は〝どの獣とも一致しないモノだった〟とのことだった。

だから『亡霊が蘇った』という説が彼らの中で増した。

「一体どういうことなんでしょうか?」

リズは、つい疑問を口にしてカルロの方を見る。

謎の獣の大きさは、国内で最大の戦闘獣である白獣に匹敵するという。けれどその姿からすると、言い切れない事情もあるのだとか。

「さぁな。俺も想像がつかん」

「町長は『亡霊が蘇ったような恐ろしい獣の姿』とおっしゃっていましたが、曖昧ではありますよね」

コーマックも、思い返す表情で考え込む。なんとも言い難いのだと、町長は語っていた。

同じく思案していたリズは、不意に短い悲鳴を上げた。

「うわっ、嘘……!」

たった小さな凸凹の一つに、足がつんっと引っ掛かった。

また何もないところでこけるのかと覚悟した直後、たくましい腕に支えられる。

「まったく、お前というやつは」

近くから吐息が触れた。

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