平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
気付くとリズは、ジェドに抱き留められていた。覗き込んできた彼の私服が、少しこちらに落ちてきてドキドキする。

「村暮らしとはいえ、これではますます目が離せないな」

「あぅ、その……すみません」

リズは、途端にしゅんと反省して謝った。地元だから役に立とうと思っていた矢先の失敗だ。

上司に手間をかけた。きっと、あきれられているに違いない。

「団長様、ほんとすみませんでした。次は気を付けます」

そっと手を解かれたリズは、しくしく思いながら言った。

そんな彼女の後ろで、コーマックが幽霊でも見たような顔で足を止めている。

「リズさん。それ、あなたが思っている意味とは違う〝目が離せない〟だと思いますよ……」

団長、めっちゃ速かったとコーマックは呟く。

しかし、そんな彼の声はリズに届いていない。相棒獣が励ますようにコーマックへ頭を擦り寄せた。



◆§◆§◆



そろそろベン=ドラッド村だ。

コーマックとジェドの指示で、いったんカルロと相棒獣が離れた。森影に隠れて移動する彼らと別れて、開けた人里へと進む。

そこは、標高の低い山々に囲まれた場所だった。

リズのいた村よりも建物が多く、人の数もあって活気に溢れていた。地方酒や織物などの加工店も目立った。

「小さい村だと聞いていたので、意外と都会寄りで驚きです」

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