平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
「とくにここが商業盛んな場所なのでしょう。姉妹町によって支援されていますから、奥へ行くといつもの農村風景が見えてくるかと」

資料で情報を得ていたコーマックが、そう言ってから向こうを指差した。

「あの山、見えますか? 一番低い、と言っていたので、恐らくはあそこが被害の多い場所です」

「その向こうの町へ抜けるために、よく使われているルートだから困っているらしいな。旅商人が多いところでも頷ける」

確かに、これだけ商売が盛んな場所が用意されているとすると、普段から外の商人たちも行き来しているのだろう。

よく使っている道に不安があるとしたら、早めに解決してあげたい。

そう思った時、リズは、不意に人混みの方へ目が吸い寄せられた。

「あれ? あの子、なんか――」

彼女の赤紫色(グレープガーネット)の瞳が、通行する人々の間から覗いた細くて華奢な少年の、ざっくばらんな灰色(アッシュ)の髪を映した。

ちらりと見えた横顔は、リズよりも年下だった。

遠目なので、よくは見えない。

でも、なんだか不思議なモノを感じた。彼だけ周りの風景と色彩が違っているというか、どうしてかピンッとリズの目を引く。

「リズさん、どうかしましたか?」

じっと見つめてしまっていると、ふと声が聞こえて我に返った。

「いえ。あの灰色(アッシュ)の髪の子、なんか目を引くなって……」

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