平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
器用な人だなぁと、リズは一瞬気が緩んだのを思い出す。

「まぁ、こう見えて信頼されているんですよ。ここは別荘、いる間はいつでも力になるから気軽にいらっしゃい、とは言ってある」

「うまい情報収集の方法ですね」

同じ領主であるジェドと重ねたのか、コーマックが思う表情を浮かべる。

ジェドが、チラリと幼馴染兼部下につっかかった。

「俺の方が悪いと言いたいみたいだな?」

「団長の場合、腹黒いところがちょっと……」

「信頼と名声は、ことをうまく運ぶには必要ですよ。今のところの問題は、早速また起こった亡霊騒ぎですね」

ベルベネット子爵が、あっさり話題を戻した。

「荷馬車が襲われた。いや、正確に言うと転倒した、というべきかな? いきなりのことで、近くの村人たちは大混乱というわけです」

――その〝化け物〟は、突如荷馬車に衝撃を与えてきたのだとか。

馬が引いていたのは、織物や金物商品を詰めるための大型の荷台だ。朝一番、商業市場へ移動させようとしていたところだったので中身は空だ。

つまり狙いは荷物ではない。

「そこには例の子供姿もあったようですから、御者をしていた男の金銭を狙ったものとも考えられますが」

「盗られた云々の報告はなかったんだろう。騒ぎが起こった直後なら、場の混乱も仕方がない。現場で聞くしかないだろうな」

ジェドは考えながらも冷静に述べた。

< 84 / 192 >

この作品をシェア

pagetop